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【ホンヨミ!0812】『キズナのマーケティング』【柏木】

2011.09.24 10:11|ホンヨミ!

キズナのマーケティング ソーシャルメディアが切り拓くマーケティング新時代 (アスキー新書)キズナのマーケティング ソーシャルメディアが切り拓くマーケティング新時代 (アスキー新書)
(2010/04/09)
池田 紀行

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この本ではソーシャルメディアを用いたマーケティング手法のこれからのあり方について著者なりの分析で述べられている。

①ソーシャルメディアとは?
マーケティングという領域において、ソーシャルメディアは「顧客や消費者とのエンゲージメント構築の場」であると著者は分析している。ソーシャルメディアが広く普及した現代、自然発生的なクチコミが大量発信・蓄積され、不特定多数が非同時的にアクセスする。企業が情報統制を行うことは実質的に困難になっている。ソーシャルメディアによる情報のあり方の変化に伴って、消費者の購買行動の在り方もまた変化してきているのだ。
このような背景を踏まえた上で、「顧客や消費者とのエンゲージメント構築の場」とは具体的にどういうことなのかを見ていきたい。著者によればソーシャルメディアはオーガニックな情報共有やクチコミがやり取りされる場所である。そもそも企業がマーケティングをすることを目的に存在している場所ではない。ソーシャルメディアの盛り上がりは消費者の自由な情報交換に起因しており、コンテンツは全てUGC的にユーザーが作っていくものである。すなわちソーシャルメディアは本質的に「消費者の消費者による消費者のための場所」だ。企業はそんな消費者の場にいわば「お邪魔させてもらう」わけなので、そこでは企業が消費者と真の「キズナ」をつくっていくことが求められる。そのためにソーシャルメディア上で有効なのがアドボカシー(顧客支援)型マーケティングである。これがソーシャルメディアが「顧客や消費者とのエンゲージメント構築の場」であるということの所以である。
以下ではアドボカシー型マーケティングについて詳しく見ていく。

②アドボカシー型マーケティング
高度に市場が成熟し、新規市場開発が非常に難しい現実。企業がソーシャルメディアにおける消費者の行動を無視できない現実。そういった状況下で企業がアドボカシー型マーケティングに取り組まないとどうなるのだろうか。潜在顧客と接近するチャンスを失うリスク、競合他者が先に消費者とキズナを形成して顧客をとられてしまうリスク、消費者の本音を知らないリスク、無駄な広告宣伝コストをかけ続けるリスク。変化したマーケティング環境に適応できないリスク。さまざまなリスクがつきまとう。これらのリスクを回避するためにもソーシャルメディアマーケティングでやるべきことは消費者との中長期的なキズナづくり、すなわちアドボカシー型マーケティングである。ソーシャルメディアならばそれが可能である。
ソーシャルメディアで行うアドボカシー型マーケティングはいくつかの類型に分類できる。
mixiやfacebookなど既存SNSですでに形成されているソーシャルグラフを利用するケース。SNSやコミュニティを自社で1から作り上げる場合、膨大な労力とコストがかかる。既存のSNSでマーケティングを行えばコストは少なくて済む。
次に自社でなんらかのコミュニティスペースを形成するケース。本の中では協業型ソーシャルメディアと呼んでいる。従来でも自社でコミュニティを作ってマーケティングを行う事例は多かったが、それは商品やサービスについて「直接的」に語らせるようなものがほとんどだった。協業型はもっと「間接的」であり、商品やサービスには直接関係のないことを語る場を提供するものだ。実際、消費者は一般的に商品やサービス自体に対して直接的に語るほど高い関心を持っているわけではないという現実を鑑みた結果だ。
そして企業ブログで自社が考えていることを伝え、消費者と対話をするといったケース。他者メディアを介さず、消費者や顧客と直接コミュニケーションをとることができる。運用コストが非常に安価。比較的自由なペースで更新できる。まとまった情報としてエントリーを書くことができる。情報のアーカイブ制に優れている。といったメリットがあげられる。
最後にtwitterを活用して等身大で会話をするケース。twitterの強みであるリアルタイム性を活かして企業と消費者との会話を行う。両者の距離感はブログに比べて近いため、双方向の会話に適している。ソフトバンクによるtwitterを活用したアクティブサポートのようなことが可能である。

③まとめ
マーケティングを行うにあたり、ソーシャルメディアがその真価を発揮するのは、中長期にわたる顧客とのエンゲージメント構築であると本書では述べられている。ソーシャルメディアでマーケティングを行うメリットはさまざま考えられるが、今まで消費者からは見えにくかった企業の本音や実際を知るという点において、ソーシャルメディアのごまかしのきかないリアルタイム性や透明性は親和性が高い。消費者から筒抜けになることをマイナスと捉えるのではなく、企業の誠意のある対応、カスタマーファーストな対応をソーシャルメディアを通じて消費者に発信することで、企業にとって限りなくプラスの影響を及ぼすことができる。そういったソーシャルメディアの使い方がエンゲージメント構築に直結すると感じた。時間や手間はかかるが、中長期的な戦略としてソーシャルメディアを活用し、用途によって数あるソーシャルメディアを使い分ければ効果はより高まるだろう。

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